塾長よりご挨拶

 2020年の初めに生じた新型コロナウィルスによるパンデミックは、あっという間に我々の日常生活、従来の価値観や考え方を根本から変えてしまいました。教育に関していうと、長期間の休校、オンライン授業、学校行事や部活動の自粛など、今まで普通に行っていたものが行えなくなりました。長期間の休校やオンラインでの授業は確実に子供たちの学ぶ機会を奪い、それによる学力低下が懸念され、コロナ世代という言葉まで生み出されました。2022年の現時点でこれからどのような影響が出ていくかはまだわかりませんが、学校についていえば、いろいろなことが制約される一方で様々な無駄も浮き彫りにしてくれたことも事実です。多すぎた学校行事、束縛されすぎた部活動など、今までこれはやらなくてはいけないんだ、当たり前なんだというものが、いざコロナ禍でなくなってみると実はそう困ることではなかったということに気づかされたというのが事実ではないでしょうか?その反面、学校に通い、教室という場で教師と生徒が向き合って、しっかり授業が行われること、これこそが学校に通う上で本当に欠かしてはならない、学校の存在意義だということがはっきりしたのではないでしょうか。

 

 そんな中、学習塾はどうだったのでしょうか。コロナ禍によりその存在意義が問われなかったのでしょうか。ここは、私のような個人経営の学習塾と大手進学塾のような組織型の学習塾と大きく分かれていくと思います。幸い、桶田塾は、一度に集まる人数がそもそも少ない個別指導、クラスでも5名前後の少人数で行っていたため、緊急事態宣言下でも通塾時間をずらすぐらいで規模を縮小することなく授業を行うことができました。もちろん感染対策を行い、通塾については希望制にし、オンラインでも対応できるようにしました。そうしたところ意外にも通塾を希望されるご家庭がほとんどでした。学校が長期的に休みになり、いつ学習が再開されるともわからない状況の中、少しでも学習を継続したいということの現れだったと思います。しかし、学習塾は週1日、多くても週2から3日という限定的な学習スタイルです。すべての学校が長期休校になる中で、私のところに通っている生徒、特に小学生低学年の生徒ですが、以前できていたことができなくなる、授業での指導内容が定着しない、など明らかに長期休校が影響した学力低下に見舞われました。

当時、そのことを受けて私が書いたブログを引用します。

 学校が休みになって、もう3ヶ月。現場の人間から言わせると、これはとんでもない学力格差を生んでいます。うちに通っている生徒の中には、この前までできていたことがすっかりできなくなる子も少なくありません。さらに、普通にこの学年なら知っていないとおかしい漢字や英単語、ぼろぼろ抜け落ちています。塾は同じ子供を相手に毎日授業を行うことができません。こうなると週1回か2回の授業では元に戻してあげるのが精一杯です。塾はあくまで学校があることを前提に補強、または、応用力をつけてあげる存在です。その前提にある基礎学力をつけるところは学校です。すでに基礎学力が備わっている、または、自学できる子は、これだけ休校期間が続いても問題ありません。むしろ、どんどん先に進んでしっかり獲得していきます。しかし、学校があることで基礎学力をつけてきた生徒は、この状況ではほぼ学力がつきません。先程のような状況が生まれます。いわゆる普通の学力の子でも起きている現象です。毎日強制的に学習する環境があることで保たれてきた一定の学力が崩壊しています。これは由々しき状況です。

引用終わり

 つまり、学習塾というのは、あくまで学校という学び舎がしっかり機能していることで成立するものだということです。学校の長期休校を通して私はそのことを実感いたしました。その上で、学習塾としてできること、桶田塾.でいえば、個別指導を通して学校で学習した内容の定着を強化し、その上で応用力をつけていくことになります。それに加えて国語専門部では、学校や大手集団塾ではなかなか行うことのできない、添削指導が入ります。個々に書き上げていく文に、教師が個々に適切なアドバイスをしながら、まとまった文章を書きあげることは、2,3名の個別指導だからこそ成立する指導です。しかし、何度も言いますが、これらの特色ある指導も学校での継続的な学習があってこそ成立するものです。

 

 生活様式や価値観は大きく変わってしまいましたが、子供たちの学びだけは、どんなことがあっても止めてはなりません。コロナが収束に向かい、徐々に元の生活を取り戻しつつある中、このような思いを改めて強く感じています。そして、この当たり前で基本的な権利が今後も侵されることがないよう私たちは注意していかねばなりません。